両毛エリア

2県11市町にまたがる広域エリアの回遊促進!長年実施していたシールラリーをデジタルスタンプラリーに移行


古くから群馬県・栃木県にまたがり、つながりが深かった「両毛(りょうもう)地域」。平成4年頃より、両毛広域都市圏総合整備推進協議会は11市町から構成される両毛地域全体のさらなる交流を目指し、様々な取り組みを開始しました。
今回広域エリア内の交流促進の一環として取り組まれたスタンプラリーイベントに、プラチナラリーが導入された背景や効果、今後の展望についてお話を伺いました。

プラチナラリーの導入に至った背景

- デジタルスタンプラリーシステムの導入背景について、教えていただけますか?

デジタルスタンプラリー開始前の背景として、以前から両毛地域では地域の知られざる魅力をより広く知っていただくために、地域内開催の宝探しゲーム「トレジャーハント」や歩きながら地域を楽しむ「ウォークラリー」を開催していました。

栃木県と群馬県にまたがる両毛地域
栃木県と群馬県にまたがる両毛地域

トレジャーハントやウォークラリー、その他様々な地域内施策を数年間継続的に実施したところ、地域内の「どこにどんな魅力があるのか」などの認知が向上してきたと感じられるようになりました。そこで次に、地域内の経済活性化や周遊促進を目標に掲げ始まったのが、現在の「りょうもうグルメスタンプラリー」の前身となる「りょうもうグルメシールラリー」です。

グルメシールラリーは主に両毛地域の飲食店を「巡って、食べて、楽しむ」ラリーです。お店で飲食や購入をすることでシールを集め、そのシールの枚数に応じて特典に応募できます。グルメシールラリーは地域内の消費促進・周遊促進はもちろん、各市町にある有名なご当地グルメなどを市町を横断しながら楽しむことで、地域への愛着や一体感を醸成する機会にもなっていきました。

両毛エリアを盛り上げるご当地グルメスタンプラリーで消費促進とエリアの一体感を醸成
両毛エリアを盛り上げるご当地グルメスタンプラリーで消費促進とエリアの一体感を醸成

長年続いたシールラリーですが令和2年頃にコロナ禍の影響もあり、非接触のデジタル化を決め、デジタルスタンプラリーシステムを探し始めることになりました。

- なぜプラチナラリーをお選び頂けたのでしょうか?

デジタル化にあたっては、元々実施していたりょうもうグルメシールラリーの認知度が高かったため、できるだけ自然にデジタルシステムに移行できるよう、これまでのルールや仕様などの企画内容が実現できることが条件でした。

佐野市政策調整課 ご担当者様
佐野市政策調整課

デジタルスタンプラリーシステムはプラチナラリー含め3社ほど検討した結果、自治体主催の類似実績が豊富だったこと、マップが見やすくて老若男女だれでも使いやすそうだったこと、アプリインストールが不要なことの3点から、プラチナラリーの導入を決定しました。
加えて、管理者側の画面が分かりやすく利用が簡単そうだったこと、万が一のシステム障害時も24時間対応可能だったことも重要な点でした。

- 今回のデジタルスタンプラリーに関する施策はどのようなものだったのでしょうか?

これまでのグルメシールラリーと基本的に同様の企画内容を実現するために、複数のオプション設定やカスタマイズを行いました。

りょうもうグルメラリー ユーザー画面
りょうもうグルメラリー ユーザー画面

まず、各市町(11市町)を隈なく巡っていただくため、1市町で1スタンプしか獲得できないように設定しました。これはスポットまたはエリアをグルーピングすることで、特典応募時にそのグループ内ごとに必要なスタンプを設定できるグルーピングオプションで実現できました。

複数の市町の回遊を促進するため、グルーピングを利用
複数の市町の回遊を促進するため、グルーピングを利用

次にスタンプ台紙のリセット機能を付け加えました。りょうもうグルメスタンプラリーは開催期間が3ヶ月間と長かったため、期間中に1回の応募で終わりではなく、スタンプ獲得と応募を何度でも繰り返して楽しめるように工夫しました。具体的には、応募したらスタンプ台紙が自動的にリセットされ、再参加ができるように設定しました。
抽選に応募すると「スタンプ台紙」がリセットされ、リセット後、再度スタンプを集めることで再度応募することができるような仕組みです。賞品応募後も何度でも応募ができるため、参加者の参加意欲向上が図れたと思います。

スタンプ獲得でキャラクターの色が変化 スタンプ獲得でキャラクターの色が変化

また、市町ごとに台紙のデザインを分けるカスタマイズもしました。各市町にはご当地キャラクターがおり、そのシルエットを台紙に設定した形です。標準仕様でも好きなデザインに台紙を設定できましたが、キャラクターを活かすため、台紙はすべて各キャラクターの台紙にし、スタンプ獲得時にシルエットが色付くのを楽しんでいただけるようにしました。

最後に、例年同様10種類の段階応募を設定し、複数回応募の人でも次は何に応募するかずっとワクワクできるようにしました。
それまで、紙で開催していたシールラリーをデジタルに置き換えるに当たって実現したかった企画内容をそのまま実現でき、ルールや仕様などの企画内容に関して混乱なくスムーズな移行が叶いました。

導入後に生まれた効果

- プラチナラリー導入後、どのような効果が出ていますか?

まずオペレーションコストが大幅に改善されました。今まではシールラリーの台紙を地域内の参加店舗や小学校等で配布するため、各エリア各配布場所への割り振りや配送などが大変でした。また以前は飲食や購入時に渡すシールを店舗に配布していましたが、これがQRコードの読み取りで獲得できるデジタルスタンプに置き換わったため、運営側はシールの準備や配布の手間がなくなり、また店舗側はQRコードのポップを置くだけで良くなりました。このような一連の管理がなくなり、さらに印刷コストも大幅に削減できました。

特設サイト上で案内されたスタンプ獲得の流れ
特設サイト上で案内されたスタンプ獲得の流れ

参加者にとっては事前に台紙を受け取る必要がなくなったため、これまでは両毛地域内の参加者がメインでしたが、デジタルによる参加の気軽さから県外の参加者層拡大もできたのではと思っています。
一方で、紙の開催からデジタル変更によるデメリットもありました。たとえば年配の方が参加しづらくなったり、スマホを持たない小さなお子様が親御さんのスマホで参加することになり、親御さんとお子さんはペアで参加することになったことなどが挙げられます。
代わりに県外の参加者層拡大やスマホ利用による若年層の取り込みは促進されており、今後のデジタル開催の浸透により、少しずつ利用方法がなじんでいけばと思っています。

- ダッシュボードで表示されるデータはどのように活用されていますでしょうか?

紙の開催時と比べて大きく改善されたのが、アンケート集計とデータ分析です。過去はアンケートを紙で集計していましたが、ダッシュボードで自動集計されることにより、参加人数や属性などの具体的な数値がグラフで閲覧可能になり、見た目ですぐ判断できるようになりました。またアンケート実施や集計の手間がなくなり、これまでの事務作業が不要になりました。

集計不要で分析データを確認
集計不要で分析データを確認

特に居住地データに関しては、地域内をどのように周遊しているかの分析に役立ちました。プラチナラリーのダッシュボードでは、アンケートの回答結果に紐付けた属性別に個人の周遊データを分析できるため、たとえば最初に佐野市で飲食した人が、その次にどこの市町へ行くかの傾向がわかるということがありました。

個別の周遊データ
個別の周遊データ

このようなデータは紙のアンケートではまず分析できないので、デジタルならではの貴重なデータだと感じています。 またスタンプスポットランキングのデータでは、飲食店よりも小売店等の人気が高く、気軽に立ち寄れるスポットの方が人気になっていることがわかりました。

スタンプスポットのランキングデータ
スタンプスポットのランキングデータ

このようなデータ分析から、次の企画に活かせるデータも見つけられそうだと感じています。
最後にデジタル開催により、参加店舗からは参加しやすくなったとの声もいただけ、デジタルへの運用変更を好評いただけたことに安堵しています。

プラチナラリーの活用で今後目指していきたいこと

- 今後取り組んでいきたいと考えていることはございますか?

デジタル開催に切り替えたばかりで現時点ではまだ特に浮かんでいませんが、詳しいデータ分析結果を各県や各市町の担当者が閲覧できるようになったので、今後そのデータを見ながら話し合っていきたいと思います。

群馬県 地域創生部地域創成課 ご担当者様
群馬県 地域創生部地域創成課 ご担当者様

来年も同じようにデジタル開催し、りょうもうグルメスタンプラリーがさらに地域に根ざして地域の皆さんはもちろん県外の方にも楽しんでいただけるデジタルスタンプラリーになっていくよう、取り組んでいきたいと思います。


関連情報

りょうもうグルメスタンプラリー

https://ryomo-gourmet.stamprally.digital/