横浜マラソン組織委員会事務局 様

横浜マラソン×デジタルスタンプラリー!ターゲット層の参加率増加と街のにぎわい創出を実現


毎年秋に開催される横浜マラソンは、国内外から多くのランナーが参加する一大イベントです。フルマラソン、みなとみらい7kmランなど多様な種目が用意されており、横浜を代表する観光名所である横浜赤レンガ倉庫や山下公園、中華街などを巡るコース設定が大きな魅力となっています。今回は、横浜マラソン組織委員会事務局 サービス課 原嶋様と笹沼様に、プラチナラリーの導入背景や成果、そして今後の展望について伺いました。


【開催したデジタルスタンプラリー】

横浜マラソンデジタルスタンプラリー2024

主催:横浜マラソン組織委員会
開催日:2024年10月1日(火) - 10月27日(日)
スタンプ数:75 箇所
スタンプ方式:QRコード方式、記述式クイズ併用方式
特典方式:電子チケット、応募フォーム
オプション:メールアドレス認証、ルートコースOP、グルーピングOP、ポイントラリーOP、クーポンOP


コロナ禍を経て辿り着いた、デジタルスタンプラリーという手段

- デジタルスタンプラリーを導入した経緯と目的を教えてください。

コロナ禍の落ち着きを契機に、横浜マラソンによる更なる街の活性化を目指し、デジタルスタンプラリーを導入しました。本企画は横浜マラソン組織委員会事務局が立案し、NTT東日本が構築・分析を担当しました。

左:横浜マラソン2024メインビジュアル/右:NTT東日本 加来様
左:横浜マラソン2024メインビジュアル/右:NTT東日本 加来様

以前は、ランナー向けのサービス提供や協賛社との交流の場としてリアルイベント「横浜マラソンEXPO」を開催していました。しかし、コロナ禍の影響を受け、オンライン開催の「ONLINE EXPO」へと移行しました。当初はONLINE EXPOの協賛社紹介ページ内のみを回遊するデジタルスタンプラリーを実施していましたが、2023年からは街全体の回遊促進を図るため、リアルスポット(現地でのスタンプ取得)とオンラインスポット(WEBサイト上でのスタンプ取得)を組み合わせた形式にアップデートしました。これは、ランナーや応援者はもちろん、横浜市民にも横浜マラソンを楽しんでいただきながら、横浜市の活性化に繋げることを目的としています。

2024年に開催したONLINE EXPOのメインビジュアル(サイトの公開は終了)
2024年に開催したONLINE EXPOのメインビジュアル(サイトの公開は終了)

- 他社にも同様のサービスがある中で、2年連続でプラチナラリーを活用した理由を教えてください。

横浜市観光協会が提供する広域観光プラットフォーム「横浜デジタルMAP」を共通基盤として活用できたことが、プラチナラリー採用を決めた大きな理由です。この「横浜デジタルMAP」は、ボールドライト社のプラチナマップ上で構築されているため、既存の観光スポット情報をそのままプラチナラリーで活用でき、開発コストと時間の削減に繋がりました。さらに、データ収集・分析基盤も既に整備されていたため、効率的な運用と継続的な改善が容易になる点も魅力的でした。横浜マラソンという大規模イベントで「横浜デジタルMAP」を活用することで、更なる相乗効果による地域活性化も期待できました。

「横浜デジタルMAP」上では、様々なスポットや企画が随時公開されている。
「横浜デジタルMAP」上では、様々なスポットや企画が随時公開されている。

また、プラチナラリーの機能性と使いやすさも採用した理由の一つです。プラチナラリーは、QRコードやGPS、クイズなど多様なスタンプ取得方式に対応しており、横浜マラソン独自の企画に合わせて柔軟にカスタマイズできる点が魅力的でした。また、アプリ不要でブラウザから手軽に参加できるアクセス性の良さ、直感的に理解しやすい操作画面も、参加者の皆様に快適な体験を提供できると考え採用を決めました。

- 開催したデジタルスタンプラリーの内容を教えてください。

横浜マラソンを多くの皆様に楽しんでいただく企画として、リアルスポット(現地でのスタンプ取得)とオンラインスポット(WEBサイト上でのスタンプ取得)を融合したハイブリッド方式のデジタルスタンプラリーを開催しました。3種類のスタンプを計75箇所に設定し、ONLINE EXPO内と横浜市内の回遊性向上を狙いました。また、SDGsの取組の一環として、参加者のスタンプ取得総数に応じ、横浜マラソン組織委員会事務局がカーボンオフセットを実施しました。

1. マチナカスポット(リアルスポット)
横浜マラソンのコース周辺に設置されたQRコード方式のスタンプスポット。デジタルマップ上には横浜マラソンのフルマラソンコースを表示し、スポットとコースの位置関係が一目で分かる仕組みです。

2. ONLINE EXPOスポット(オンラインスポット)
協賛社紹介ページに設置された、記述式クイズ方式のスタンプスポット。ページ内からキーワードを探し、正解するとスタンプが取得可能。協賛社の活動内容や商品・サービスへの認知度向上を狙うと同時に、企業にはPRの場としても活用いただき、協賛継続に繋がる効果も期待しました。

3. SDGsナゾトキスポット(オンラインスポット)
横浜マラソン公式サイトのSDGs特集ページに設置された、記述式クイズ方式のスタンプスポット。クイズに正解するとスタンプが取得できる仕組みです。

各スタンプスポットの例
各スタンプスポットの例

デジタルスタンプラリーの主な参加者はランナーの方々であり、メインターゲットもランナーに設定していました。しかし、2024年は「ファミリー層」をメインに、ターゲットの年齢層を広げました。横浜マラソンへの参加経験が少ないと想定される方々にまでターゲットを拡大することで、幅広い年齢層の参加を促進しました。

また、スタンプスポットの種類によって獲得できるポイント数が変動する「ポイント方式」を採用しました。市内のリアルスポットは高ポイントに設定するなど、スポットごとのポイント数に変化をつけることでゲーム性を向上させ、市内全体の回遊促進を狙いました。他にも様々なプラチナラリーの機能を活用し、デジタルスタンプラリーを構築しています。

メインターゲット層の新規獲得に成功。その背景は?

- プラチナラリー導入で得られた効果を教えてください。

・ ファミリー層の参加者増加(前年比 5%増)
・リアルスポットの一人あたり平均スタンプ取得数増加(前年比 1.4個増)
・複数のスタンプスポットを回遊した参加者の割合増加(前年比 3%増)
・参加者のスタンプ取得総数に応じ、カーボンオフセット9,132tを達成

上記を実現することができました。

デジタルスタンプラリーには1,500名以上の方にご参加いただきました。アンケート結果を分析した結果、目標としていたファミリー層の増加を実現できたことが分かりました。このデジタルスタンプラリーをきっかけに、横浜マラソンへ興味を持っていただき、横浜の魅力を再発見していただけたのであれば大変嬉しく思います。将来的には、ランナーとして大会にご参加いただければ幸いです。

今回はポイント方式を導入したことで、高ポイントに設定したリアルスポットにおいては、「一人あたりのスタンプ取得数」と「複数のスポットを巡る参加者の割合」が前年比で増加しました。この結果から、横浜マラソンをきっかけに、多くの方が実際に横浜の街を歩き、その魅力を体感してくださったと推測できます。事務局としても、横浜の魅力に触れる機会を提供できたことを大変嬉しく思っています。

ナンバーカード受け取り会場でデジタルスタンプラリーに参加する来場者
ナンバーカード受け取り会場でデジタルスタンプラリーに参加する来場者

また、参加者のスタンプ取得数に応じたカーボンオフセットを実施するSDGs企画では、多くの皆様にデジタルスタンプラリーへご参加いただけたため、目標としていたオフセット量(最大10t)に迫る成果を達成できました。SDGsは社会全体の課題でありながら、個人の行動に結びつきにくい側面があります。しかし、デジタルスタンプラリーと街歩きと組み合わせたことで、楽しみながらSDGsの重要性を再認識する機会を創出できました。

さらに、横浜マラソン開催の約1ヶ月前となる10月1日(火)からデジタルスタンプラリーを開始していたため、大会前から横浜マラソンの機運醸成を図り、街の賑わいを創出し、参加者のモチベーション向上に繋げることができました。開催期間中は安定した参加者数を維持でき、横浜マラソンの認知度向上と街の活性化という目標を達成できたと考えています。参加者からは、「知らなかった場所へ行くきっかけになった」「横浜の新たな魅力を発見できた」といった声が寄せられ、横浜市内を巡ることで得られた体験や発見が、満足度向上に繋がったと分析しています。

- 効果獲得に繋がった、デジタルスタンプラリー作成時の工夫を教えてください。

リアルスポットとオンラインスポットを組み合わせた企画自体も工夫の一つですが、プラチナラリーの機能を最大限活用することで、横浜マラソンならではの企画を実現することができました。これにより、他のデジタルスタンプラリーとの差別化もできたと考えております。

まず、ルートコースオプションを活用し、デジタルマップ上に横浜マラソンのフルマラソンコースを表示しました。これにより、参加者はマラソンコースとスタンプスポットの位置関係を視覚的に把握できるようになり、コース周辺のスポットへも足を運びやすくなりました。結果として、コース周辺地域への訪問促進効果が生まれ、市内全体の回遊性向上に繋がりました。

また、ポイントラリーオプションを活用し、マラソン距離にちなんだポイント数で賞品に応募できるなど、マラソン要素を加えた仕組みを作りました。他にも、スタンプスポットの種類によって獲得できるポイント数を変更するなど、ゲーム性を高める工夫を行ったことで、多くの参加者に楽しんでいただけたと考えています。

さらに、デジタルスタンプラリー開催期間中はデジタルクーポンを配布しました。デジタルマップ上でクーポン発行店舗を確認しながら市内を回遊できる仕組みを構築したことで、クーポンの利用促進による消費誘発と市内回遊の活性化を図りました。システムの利用状況などをグラフや数値で瞬時に確認できるダッシュボードの機能も有用でした。ダッシュボードでクーポンの利用状況を確認した結果、多くの参加者がクーポンを利用して市内を回遊しており、横浜市内の地域経済活性化にも貢献できたと実感しています。

実際のデジタルスタンプラリーの画面
実際のデジタルスタンプラリーの画面

また、協賛社のスポット詳細ページに企業のPR動画を掲載したことで、企業の広報活動にも貢献できました。プラチナラリーでは画像だけでなく動画も掲載できたため、より訴求力の高い情報発信が可能でした。結果として、協賛社の認知度向上に繋がったと考えています。

さらに、横浜マラソン大会直前の告知ポスターにQRコードを掲載し、読み込むだけでスタンプを1つ取得できる仕組みを作りました。このポスターは、駅や公共施設、観光案内所など、市内各所の人通りの多い場所に掲示しました。これにより、横浜マラソンのポスターを目にした方が、手軽にデジタルスタンプラリーに参加できるようになりました。ポスターのデザインにQRコードを挿入するだけで実現できたため、特別な費用をかけずに広報効果を高めることもできました。

駅構内に設置された横浜マラソンの告知ポスター デジタルスタンプラリーのQRコードが掲載されている
駅構内に設置された横浜マラソンの告知ポスター
デジタルスタンプラリーのQRコードが掲載されている

プラチナラリーの活用で、更なる進化を目指す横浜マラソン

-今回分析できたデータをどのように活用していく予定ですか?

デジタルスタンプラリー開催中の参加状況はダッシュボードで確認ができますが、特にどのスポットが人気で、どのようなスポットが回遊されているのかを、具体的な数値やグラフで把握できたことは、関係者へのフィードバックの信頼性が増し、今後の大きな収穫となりました。プラチナラリーのダッシュボードは視覚的に分かりやすく、分析がしやすかったです。今回得られた分析データは、来年開催する際のスタンプスポットの配置場所や、参加者の行動範囲の予測に活用していきます。

ダッシュボードの活用で参加者のデータを分析
ダッシュボードの活用で参加者のデータを分析

今回は多様な形式のアンケートを実施し、参加者の居住地、年代、性別、同伴者、興味のあるコンテンツ等の属性情報を収集しました。これらのデータから、横浜マラソンへの関心層や興味関心のある情報を深掘りすることで、来年以降の広報展開や企画立案の効率化を目指します。また、ファミリー層の参加率上昇に加え、個人参加者も多かったことから、友人や家族と楽しめる企画や参加者同士のコミュニティ形成も視野に入れています。

また、SDGsナゾトキスポットの回答率が高いという興味深い結果も得られました。楽しみながらSDGsについて学べるコンテンツが効果的であったことが改めて確認でき、参加者のSDGsへの意識向上に貢献できたと考えています。この結果を踏まえ、今後も横浜マラソンを通してSDGsの啓発活動を推進していきます。

プラチナラリー導入により、デジタルスタンプラリーのデータを体系的に分析でき、イベントの魅力向上や効果的な運営など、地域活性化へのヒントを得ることができました。今後は、詳細なデータに基づいた企画・運営を実施し、皆様にさらにお楽しみいただけるようなイベントにしてまいります。

次回の横浜マラソンは2025年10月26日(日)に開催予定です。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

- ありがとうございました。

プラチナラリー担当営業 コメント

事務局様のご要望に基づき、企画・機能の検討をサポートさせていただきました。リアルスポット訪問で高ポイントを獲得できる仕組みに加え、特典応募時に各グループのポイント取得を必須条件とすることで、両スポットへの回遊率向上を実現しました。また、スタンプ台紙やアイコンのデザインを工夫し、ユーザビリティ向上に配慮しました。本デジタルスタンプラリーが横浜マラソンの更なる発展と横浜への来訪者増加に貢献できれば幸いです。今後も、魅力的なスタンプラリーの実現に向けて尽力いたします。


横浜マラソン組織委員会事務局様 コメント


横浜マラソンはスポーツ振興や健康増進に寄与し、経済波及効果やシティセールス効果が期待できる「する、みる、ささえる」すべての人が楽しめる大会を目指し、毎年2万5千人を超えるランナーが参加する国内最大級の市民マラソンです。 フルマラソン以外にも短い距離を走る「みなとみらい7kmラン」や、小学生とその保護者が一緒に走ることができる「ファンラン(ファミリー)」など多彩な種目が実施されます。
美しい横浜の景色の中、沿道から送られる多くの声援やボランティアスタッフの笑顔に包まれたコースを駆け抜ける爽快感を味わうことができます。 2025年は10月26日(日)の開催を予定しています。
https://yokohamamarathon.jp/


NTT東日本様 コメント


NTT 東日本では、「横浜マラソン 2024」の魅力発信、賑わい創出および認知拡大を目的 に、デジタルスタンプラリーを始めとした運営サポートを行いました。弊社グループ・協力企業が持つ、営業や設備業務において現場第一線で活動する社員などの 地域密着力の特長を活かし、「地域の未来を支えるソーシャルイノベーション企業」として、ICT ソリューションのご提供にとどまらず、夢や希望を感じられる社会づくりまで支援していきます。