小笠原村観光局 様
謎解きデジタルスタンプラリーで小笠原村の魅力を発信!新規顧客層開拓で観光PRに新たな可能性
東京都心から南へ約1,000km、太平洋に浮かぶ小笠原諸島。世界自然遺産にも登録されたこの島々は、独自の生態系と美しい自然環境を誇ります。小笠原諸島全域を領域とする小笠原村では、村の魅力を広く発信し、観光客誘致につなげるための様々なPR活動を積極的に展開しています。今回は小笠原村観光局の事務局長である根岸 康弘様に、デジタルスタンプラリー「プラチナラリー」の活用方法と、その成果について詳しく伺いました。
デジタルスタンプラリーが、課題解決への必然的な選択だった
- デジタルスタンプラリー導入に至った背景を教えてください
小笠原村の魅力をより多くの方に知っていただくため、情報収集のきっかけとなるデジタルスタンプラリーを導入しました。この取り組みを通じて、島外における小笠原村の認知度向上と観光客誘致を図り、来島者数の増加を目指しました。
今回実施したデジタルスタンプラリー「めざせ、小笠原マイスター!おがじろうからの挑戦状 SMILEを探せ! in TOKYO」は、「小笠原村観光振興ビジョン ~Ogasawara Smile Tourism~」という観光ビジョンを島外へ発信するために企画したものです。このビジョンは、島外での認知度がまだまだ低いという課題がありました。また、独自の生態系や美しい自然環境など、多くの魅力を秘めた小笠原諸島ですが、アクセスしづらいという地理的な側面もあり、その魅力は未だ十分に知られていないという課題もあります。そこで、より多くの方に小笠原の魅力を知ってもらうため、参加型の施策としてデジタルスタンプラリーを選びました。小笠原諸島への観光客の7割以上は首都圏からの来島者で、東京の竹芝桟橋から定期船が運航されているというアクセスの良さも踏まえ、今回のデジタルスタンプラリーでは、首都圏在住者を主なターゲット層としています。
- 紙ではなくデジタルでの開催を選んだ理由を教えてください。
デジタルスタンプラリーを選んだ一番の理由は、時代に即した情報発信手法として最適だと考えたからです。従来の紙媒体によるスタンプラリーでは、スタンプ帳を忘れてしまうと参加自体ができないという課題や、開催後のデータ収集や分析に手間がかかるといった課題がありました。一方、デジタルスタンプラリーであればスマートフォン一つで完結するため、参加者は利便性が向上します。加えて、スタンプラリー用の台紙やスタンプ台の設置場所の制約も受けないため、運営もしやすいです。さらに、開催中も参加者のデータをリアルタイムで確認できるため、参加者の参加状況に合わせて新しい施策を迅速に展開することも可能です。これらは、紙のスタンプラリーでは得られない、デジタルスタンプラリーならではの大きなメリットだと考えました。
- 同様のサービスが多々ある中で、プラチナラリーを選んだ理由を教えてください。
デジタルスタンプラリーのサービスを比較検討し、プラチナラリーを選んだ一番の決め手は、参加者の参加ハードルを下げられるという点です。プラチナラリーはアプリのインストールが不要で、ブラウザから手軽にアクセスできるため、参加へのハードルが低い点が魅力でした。また、豊富な導入実績とカスタマイズ性も決め手の一つです。全国各地の自治体での導入実績があり、信頼性の高さを感じたことに加え、多様な機能とオプションにより、小笠原村らしい企画ができると思いました。そして最後に、費用対効果の高さです。限られた予算の中で、高いクオリティのデジタルスタンプラリーを低コストで実現できるという点も、プラチナラリーを選んだ理由です。実際、今回のデジタルスタンプラリーは低コストで高品質なコンテンツを作成できたと感じています。複雑な作業は必要なく、画像等の素材をアップロードするだけで形になるため、作業工数を大幅に削減できました。
【開催したデジタルスタンプラリー】
「めざせ、小笠原マイスター!おがじろうからの挑戦状 SMILEを探せ! in TOKYO」
開催期間:2024年8月2日(金)〜2024年8月29日(木)
仕様:マップレス
スタンプ方式:QRコード+GPS、記述式クイズ方式
「小笠原村観光振興ビジョン ~Ogasawara Smile Tourism~」を体験してもらう、謎解きデジタルスタンプラリー。小笠原にまつわる暗号を解くと、都内の駅名を入手できる。都内4箇所の駅の構内に設置されたポスターのQRコードを読み取ることで、スタンプが取得できる仕組み。全てのスタンプを集めた参加者には、「小笠原マイスター認定証」が先着順で贈呈される。参加型のエンターテインメントをきっかけに、小笠原に興味関心を持ってもらうためのプロモーション企画。
https://www.visitogasawara.com/campaign/ost2024sr/
予想を上回る反響!デジタルスタンプラリーで新規顧客層を開拓
- プラチナラリー導入後、どのような効果が得られましたか?
プラチナラリーのアンケートで集計した参加者の内訳が、当初の想定とは異なる結果となり、今後の観光PR活動に新たな方向性を見出す貴重なヒントが得られました。
私たちは、小笠原村の既存のファンやアンバサダーがデジタルスタンプラリー参加者の中心になると予想していました。特に、全国に約1,100人在籍する小笠原アンバサダーの活性化はこの企画の目的の一つであり、彼らによるSNS等を活用した情報発信は小笠原の魅力を広く伝える上で大きな力になると期待していました。
しかし、結果として嬉しい誤算がありました。デジタルスタンプラリー参加時に設定したアンケートの結果によると、アンバサダーの参加は全体の2〜3割程度となり、予想を大きく上回る半数以上の参加者が小笠原村への来訪経験のない方々だったのです。このことから、デジタルスタンプラリーは新規顧客獲得に効果的な手段であることが分かりました。これは、今後の観光PR戦略を検討する上で非常に重要なヒントであり、新たなターゲット層へのアプローチ方法を見直す機会となりました。
最終的には、当初の予想を上回る約1,000人の方々にご参加いただくことができました。駅で実際にスタンプラリーを楽しむ家族連れの方々の姿を目にすることもでき、企画者として大変嬉しく思いました。小笠原村のファンのみならず、来訪経験のない方々にも多くご参加いただいたことで、小笠原村の認知度向上に貢献できたと考えています。デジタルスタンプラリー終了後の小笠原村への観光客数の変化はまだ測定できていませんが、これをきっかけに、一人でも多くの方に小笠原村へ足を運んでいただけることを期待しています。
-得られた効果の背景には、プラチナラリーのどのような機能の活用がありましたか?
今回の成果は、プラチナラリーの柔軟なアンケート機能とリアルタイムなデータ分析機能の活用によるところが大きいと考えています。 プラチナラリーのアンケート機能は自由に質問項目を設定できるため、参加者の属性や行動に関する詳細なデータ収集ができました。例えば、今回のスタンプラリーでは、参加者の小笠原村への来訪経験の有無といった今後の観光戦略に重要な情報を取得できました。その結果、半数以上の参加者が小笠原への来訪経験がないということが分かり、新たな顧客層へリーチできたことが確認できました。この結果は今後のPR活動の指針となる重要なデータだと考えております。
独自のアンケート項目を設定し、デジタルスタンプラリー参加者の属性を収集
また、プラチナラリーのダッシュボードでは、どのクイズにどれだけの解答者がいて、スタンプが押されているかが可視化されています。今回のデジタルスタンプラリーはあえてクイズの難易度を高めに設定していたため、小笠原村に詳しいアンバサダーの方々からも、SNS上で「難しい」という投稿が見られました。こうした参加者の声とダッシュボードのデータとを併せて確認することで、ヒント提供のタイミングなどを柔軟に調整できました。これはプラチナラリー導入の大きなメリットだったと感じています。
ダッシュボードではスタンプの取得状況がスポットごとに確認できる
その他、スポットPVや参加者のアクティビティなど詳細な情報もダッシュボードで確認可能
私自身も実際にデジタルスタンプラリーに参加しましたが、スマートフォンで参加できることでの利便性の高さを改めて認識し、やはり現代のニーズに合っていると実感しました。
プラチナラリーの柔軟性で実現した、小笠原村らしさ溢れる企画
- 今回の企画ではどのようなカスタマイズを使用しましたか?
プラチナラリーでは、QRコード、GPS、そして記述式クイズを組み合わせたスタンプ取得方式を採用しました。プラチナラリー導入時点でのクイズの回答方式は選択式のみでしたが、今回の謎解き企画に合わせ、記述式も対応できるよう新しいシステムを構築いただきました。回答を記述式にすることで、クイズの難易度を上げ、より深く小笠原村について考えてもらう仕掛けです。また、参加者がクイズに不正解だった場合にはヒントを表示する機能も採用しました。
加えて、今回のデジタルスタンプラリーのクイズの回答が駅名だったこともあり、マップレス形式で開催しました。地図を使用しないことで、どのようにスタンプラリーを成立させるか、様々な工夫を凝らしました。例えば、全部で8種類用意したスタンプのうち、4つはクイズの正解地点である駅の場所を示すヒントになるようデザインしました。これらの視覚的な仕掛けにより、参加者が謎解きを楽しみながらスタンプラリーを進められるようにしています。
様々な機能を活用し、小笠原村らしくカスタマイズされたプラチナラリー
プラチナラリーの高いカスタマイズ性のおかげで、今回の謎解きのような複雑な仕様にも柔軟に対応でき、非常に満足しています。
- その他に今回の企画で工夫した点はありますか?
今回の企画の工夫の一つとして、都内の駅を舞台にしたクイズ形式のスタンプラリーという点もあります。家族連れでも楽しめるよう、子供から大人まで幅広い年齢層をターゲットに、謎解きを通じて小笠原村への興味関心を高め、来訪を促すことを狙いとして企画しました。
小笠原村に関連するワードと組み合わせながら答えを導き出すクイズ
小笠原村に関連するワードや知識を組み合わせることで、最終的に4つの駅名を導き出せるようなクイズ構成になっています。一見、小笠原村とは無関係に見えるこれらの駅名も、用意されたヒントを解読していくことで、解答にたどり着けるよう設計されています。このクイズ形式には、参加者に受動的に情報を受け取ってもらうのではなく、能動的に小笠原村について考えてもらいたいという意図があります。謎解きを通じて小笠原村について調べてもらい、理解を深めてもらうことを目指しました。このデジタルスタンプラリーで、より一層小笠原村を身近に感じてもらえていたら嬉しいですね。
岩本町駅に掲示されたデジタルスタンプラリーのポスター
デジタルスタンプラリーきっかけで見えてきた今後のビジョン
- 今回のデジタルスタンプラリーを開催した経験を、どのように活用していく予定ですか?
アンケート結果を見ると、デジタルスタンプラリーが新規顧客獲得に効果的であることが分かり、小笠原村のPR活動に新たな可能性を感じています。プラチナラリーで得られたデータの具体的な活用方法はまだ検討中ですが、今回の開催で、デジタルスタンプラリーは効果的なPR方法の一つとして、大きな可能性を示してくれたと感じています。
アクセスが簡単ではない小笠原村だからこそ、来訪前、来訪中、来訪後も小笠原村への関心を継続してもらえることが重要です。そのため、今後はプラチナラリーを更に手軽に活用し、新たな企画を展開したいです。例えば、本土で開催される小笠原村関連イベントの会場を非公開にし、スタンプラリーで場所を明かすといった企画は面白そうです。インターネットが無い状態での開催という課題はありますが、竹芝〜小笠原村間の所要時間24時間の定期船内でデジタルスタンプラリーを実施すれば、乗客同士の交流促進にも繋がりそうですね。また、小笠原村での長期滞在を前提とした難易度の高いデジタルスタンプラリーも魅力的です。多くのアイデアを温めているので、プラチナラリーと連携し、成功事例として形にできたら嬉しいです。
今後も、より多くの人に小笠原村に関心を持ってもらえる企画を検討していきます。皆様の小笠原村へのご来島を心よりお待ちしております。
小笠原村観光局様 会社概要
小笠原村観光局は、小笠原諸島の観光振興に寄与することを目的に、2011年4月、小笠原村の資金拠出により東京都港区内に設置された組織。主に小笠原村外での広報・営業部門として企業や団体、個人に向けたセールス活動を展開すると共に、ファンマーケティング手法を取り入れた『小笠原アンバサダープログラム』を運用。小笠原村ファンとの共創活動の幅を広げている。近年は、『教育を通じた観光振興』をテーマに、各種教育機関での小笠原村の授業の実施にも力を入れている。
https://www.visitogasawara.com/
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