北海道石狩市 様

オリジナリティあふれるビジュアルと情報発信で差別化!デジタルマップ × デジタルスタンプラリーで生まれる組織を超えたシナジー


福井農遊スタンプラリー

石狩市は北海道中央西部に位置し、北の最大都市である札幌市の北部に隣接。札幌中心部から車で約30分でアクセスすることができます。その一方で海・山・川などの大自然があり、その自然が生み出す農水産品による食の魅力などが自慢の街です。2023年にデジタルマップを導入し、さらに同年に2度のデジタルスタンプラリーを実施した背景やその効果、今後の展望などについて詳しくお話を伺いました。

プラチナラリーの導入に至った背景

- プラチナラリーの導入背景について、教えていただけますか?

本市では、第3次石狩市観光振興計画という市の観光関連の計画を策定しており、この計画に基づき観光客の誘致や周遊促進等を行うことで、地域における交流人口の増加や消費拡大による地域活性化などを推進しています。 そのプロジェクトのひとつとして、石狩の魅力を発信するプラットフォーム「いしかり観光デジタルマップ ISHIKARI DIGITAL MAP」(※) を制作し、2023年3月から運用を開始しています。
(※ プラチナマップを基盤マップに採用し制作・運用中) コロナ禍で国としてDX化を推し進めるなか、石狩市でもデジタル技術を活用した観光施策ができないかと検討の末、デジタルマップの導入に至りました。

いしかり観光デジタルマップ ISHIKARI DIGITAL MAP
いしかり観光デジタルマップ ISHIKARI DIGITAL MAP

そして、2023年度はそのデジタルマップをいかにして使ってもらうかに重点をおいていたので、第一にデジタルマップの認知度向上・利用促進を目的に、そして同時に観光客の誘致や周遊促進を図るために、デジタルマップ上で展開できるデジタルスタンプラリー(プラチナラリー)を施策として選び実施することになりました。

- なぜプラチナラリーをお選び頂けたのでしょうか?

まず、プラチナマップについては、下記などの点に優位性を感じて採用しています。

①操作性の良さとシンプルで直感的なUI
画面操作や動作がサクサク・スムーズで、高齢者やスマートフォンが得意ではない方でも操作が簡単
②オリジナリティの表現
現在地アイコンに石狩市のゆるキャラ「さけ太郎・さけ子」、代表的な施設のスポットピンをGIFアニメとすることなどで、マップ上で石狩市らしさを演出
③多言語対応
観光客に加え、石狩市の在住外国人(インドネシア、ミャンマー、ベトナムなど)の方々向けの言語表示に対応
④豊富なオプション機能
スタンプラリー、デジタルクーポン、ルートコースなど、豊富な機能バリエーション

デジタルマップを制作・運用していく上で特に意識したところとしてはGoogleマップとの差別化で、プラチナマップにはビジュアル的な訴求や地域ならではの情報発信ができる機能が充実していることに独自性と強みを感じました。 また、プラチナラリーにおいても、これらの特徴がそのまま享受できるので使いやすさを感じています。


[左]現在地アイコンの石狩市のゆるキャラ「さけ太郎」
[中左]GIFアニメでレイアウトしたスポットアイコン
[中右・右]石狩ならではのスポットやレシピ情報

- 今回のデジタルスタンプラリーに関する施策はどのようなものだったのでしょうか?

まず、メインターゲットには札幌圏からのドライブ観光客を設定していました。 札幌圏の住民や近郊の主要観光地である札幌へ訪れた方々に、ドライブがてら石狩にも遊びに来てほしいという想いで「ぷらっとりっぷ ISHIKARI ドライブスタンプラリー」というスタンプラリータイトルを付けました。

スタンプラリー画面(夏)
スタンプラリー画面(秋)
スタンプラリー画面(夏・秋)

今回のスタンプラリーは夏(7〜8月)と秋(9〜10月)の2回で、期間を区切って開催しました。 夏の企画は、海水浴場やキャンプ場、海鮮が食べられるお店など、夏ならではの自然や海が楽しめる施設を中心にスタンプスポットに選定。秋の企画には、「鮭のまち」でもあることから、季節的にも旬の鮭や地場食材が味わえるお店などを中心に味覚の秋をテーマにスポットを選定し、夏と秋の対象スポットを替えることで、どちらの企画も飽きずに楽しんでもらえるように工夫しました。 その他、スタンプラリー参加の間口を広げるためにスタンプ1個から応募できる賞も設けて、よりたくさんの方々に参加してもらうことを目指しました。そのうえで、スタンプをたくさん集めてくれるコアな方々向けの豪華な賞も用意。さらに、スタンプの累計獲得数が条件の賞だけではなく、特定ジャンルのスポットから一定数のスタンプ数を集める賞など、多様な応募機会を設けることで参加者増・満足度向上を狙いました。

様々な賞を設けた豪華なスタンプラリー特典
様々な賞を設けた豪華なスタンプラリー特典

- デジタルマップ/デジタルスタンプラリーのPR・訴求はどのようにおこなっていますか?

名刺サイズのPRカードやチラシ・ポスターを制作し、市内の公共施設や飲食店のほか、札幌エリアなどでの配布・掲示を通じてPRを行いました。それ以外に、WebやSNSでの広告配信、「石狩市三大秋祭り」や、市内で開催された「RISING SUN ROCK FESTIVAL」や「FEELD GOOD FES.」などのイベントでの周知も実施しました。 デジタルマップを見てもらえれば同時にスタンプラリーの情報も知ってもらえるので、まずはデジタルマップにアクセスしてもらえるような訴求方法を意識しています。

[左・中]PRカード / [右]ポスター
[左・中]PRカード / [右]ポスター

導⼊後に⽣まれた効果

- デジタルマップ/デジタルスタンプラリー導入後、どのような効果が出ていますか?

デジタルマップを2023年3月に公開し2023年11月末までに約10万PVのアクセスがありました。デジタルスタンプラリーについては、夏・秋で合計2,000人以上にスタンプラリーに参加いただくことができ、誘客・周遊促進としての実施効果を感じていますし、スタンプラリー開催期間には特にデジタルマップの利用数が増えたことも確認できたので、目的であるデジタルマップの認知度向上・利用促進にも確実に繋がっています。

- ダッシュボード(管理画面)で表示されるデータはどのように活用されていますか?

スポットデータから石狩市内の観光の人気スポットを客観的な数値として確認することができました。また、スタンプラリー特典への応募者情報から居住地等を把握することができたので、参加者像が具現化できました。 これらのデータを整理して、今後「どのスポットを推していくか」「誰にどんな訴求をおこなっていけばよいか」「モデルコースの制作」「広告配信のターゲティング」などの検討材料として活用していきます。 様々な観光施策を実施する際に、その根拠となる実績データを使えるようになったのはとても大きいと思っています。

デジタルマップ ダッシュボード画面
デジタルマップ ダッシュボード画面

- 組織内外からの評価・評判はいかがでしょうか?

デジタルマップ/デジタルスタンプラリーともに、汎用性の高さを関係者一同とても評価しています。 例えば、別部署の交通担当で推進しているサイクリング事業のサイクリングコースをデジタルマップに搭載したことや、国際交流の担当部署では、在住外国人の方々に自分のまちを知ってもらう・楽しんでもらうためのツールとして、多言語対応しているこのマップを活用していただいています。 このようにデジタルマップ/デジタルスタンプラリーというDXプラットフォームが、部署や組織の垣根を超えて良いシナジーを生みだしています。

サイクリング事業のサイクリングコース
サイクリング事業のサイクリングコース

プラチナラリーの活用で今後目指していきたいこと

- 今後取り組んでいきたいと考えていることはございますか?

直近では下記のようなことを予定・検討しています。

プラチナマップ(デジタルマップ)
・情報&コンテンツの拡充
・地場産品(農水産物)の紹介
・デジタルサイネージの導入

プラチナラリー(デジタルスタンプラリー)
・ポイント獲得形式のポイントラリー(2024年度実施に向け検討中)
石狩市は1市2村の合併を経たこともあり、南北に約70kmもの広さがあります。スタンプラリーの開催結果のデータを分析すると、札幌から近いスタンプスポットのほうが多く来訪されている傾向がありました。このことを踏まえて、来年度はより遠方のスポットまで足を伸ばしてもらうアイデアとして「ポイントラリー」を採用して、地域全体の人の流れを作り出すことを考えています。

- これまでの取り組みを振り返って感じていることをお教えください。

北海道石狩市 企画経済部商工労働観光課観光担当 中村様
北海道石狩市 企画経済部商工労働観光課観光担当 中村様

観光の街ではない石狩市では、“いかにして人を呼び込むか”というところは今後も課題です。 その対策として、私たち観光担当ではデジタルマップ/デジタルスタンプラリーを通じて、これからもたくさんのオリジナリティある情報発信・訴求を続けていきます。そのなかで、グルメ、歴史、風景、アウトドア体験など、何かしらをきっかけに石狩に魅力を感じて足を運んでいただけたら嬉しく思います。
石狩市としては、今後もこのデジタルマップを中心に観光客の誘致や周遊促進に取り組みながら、地域全体の交流人口を増やしていけるように精力的に活動していきます。

ありがとうございました。